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経営者から見たDX人材最前線(1)
 −Alpaca Japan四元CEOが明かす「強い組織」の作り方

AlpacaJapan株式会社

※このインタビューは2020年12月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
Alpaca

Alpacaのコーポレートスローガン。「AI(Alpaca Intelligence)の可能性を徹底的に探求し、ヒトがより人らしく生きる社会を実現する。」



流動性の高いDX人材を企業はどのように採用し、育成しているのか。大企業からスタートアップ企業に至るまで、さまざまな経営者の本音を探る連載「経営者から見たDX人材最前線」が始まります。 第1回はフィンテック分野のスタートアップとして、快進撃を続ける「Alpaca Japan」の代表取締役CEO四元盛文氏。外資系証券会社から転身した背景や、ベテランのビジネスパーソンとして自身に求められたもの、そして成長しつづける組織の作り方などを伺いました。 インタビュアーと執筆は、サービスロボット分野のスタートアップ「Plen Robotics」の共同創業者でCOOの富田敦彦氏。旧知の創業者同士だからこそ話せる、経営と採用の本音を御覧ください。


―Alpaca Japanという会社とそのサービスを教えてください。

2013年に設立された画像認識技術を開発する株式会社Ikkyo Technology(現;AlpacaJapan株式会社)が前身です。2015年後半にフィンテック領域にピボットし、2016年為替トレーディングにおけるアルゴリズムをAIによって自動生成化するサービスとしてローンチしました。

ちょうど、この頃私が日本のビジネスをリードする立場で参画しました。Alpacaのコアアセットは強固なAIエンジンとビッグデータ解析です。金融機関のお客様を中心に多様な予測モデルを提供しています。現在は蓄えた技術をさらに多くの方々に拡大普及させるための新規事業を準備しています。

―スタートアップというと創業者にフォーカスが当たることが多いと思います。途中から社長として参加された四元氏のキャリア、参加の動機を教えてください。

私は1993年に日商岩井(現在の双日)に入社し、様々な金融商品取引をしていました。その後、リーマン・ブラザース証券、バークレイズ証券などの外資系投資銀行にて、企業調達の立案・実行を中心に活動していて、2016年10月にAlpaca Japanに加わりました。 Alpacaの尖りまくった、でもとても面白い創業者3人衆はシリコンバレーで挑戦したいという思いを強く持っていて、アメリカでの事業に集中するため日本の事業を任せる人間を探していました。

彼らは日本でスタートアップがB2Bの事業を行うためには技術だけでは戦えないことを理解していて、顧客とのリレーションを作ることができる人間を探していました。彼らは一回り以上も年齢は離れた若者でしたが、彼らのパーソナリティーに強く惹かれ、私が新卒時に抱いていた「事業を立ち上げたい」という気持ちを思い出させてくれました。今でもとても感謝しています。自分のサラリーマン・キャリアの集大成はここだと確信して、参加を決断しました。

最初の仕事は「断ること」

―技術者ではない四元さんは、自身の役割をどのように位置づけていますか?

技術・開発はCTO含むチームに完全に任せています。技術は顧客に新たな価値を提供し、実装しお客様が満足頂いて、初めて技術だと思っています。その、新たな価値とはなにか、何がお客様のペインでそれを解決するソリューションがなにかをお客様と共に定義することが、自分の役割であり価値だと思っています。

CEOという立場になって最初にやったことは、実は案件を断ることでした。当時の弊社は僅か6人。スタートアップはなんでもやりたがりますが、リソースは限られています。商談先のご担当の方が意思決定権者か、或いは情報収集にとどまってしまっていないかなどを見極める必要が当時のAlpacaにはありました。せっかくの潜在的な案件を断るとは何事だとご不満の言葉も数々頂きましたが「申し訳ありません。必ず1年後戻ってきます。それまで待ってください!」とお願いをして、Alpacaの技術をとにかくマネタイズする最短の距離を歩むことがスタートアップには大事なことで、それが当時のAlpacaの歩む道と信じていました。

―そういった集中と選択を決断・実行した結果、今の陣容はどのようになっていますか?

社員数はAI関連に従事するエンジニアが20数名、新規事業部門(基盤開発エンジニアを含む)が20数名、経営や会社のインフラ部門を入れると50名程度です。AI関連のエンジニアの多くは海外の出身者で、博士号取得者が6名。新卒も3名います。新規事業部門は日本人スタッフが中心です。いうまでもないですが基本的にはエンジニアの会社ですね。

―採用方法やポリシーを教えてください。

募集方法は、以前はWantedlyやLinkedIn等々様々やれることはすべてやりました。今でも活用させていただいていますが、最近は弊社のパブリックサイトからや社員、人の紹介がメインになってきました。採用の際は、最初から特定の役割を意識しないことを心がけています。その時々のニーズに応じて採用をしていると組織がいびつな形になりかねないので、将来を見通して必要なポジションがどこかということを、どこの部署でも常に考えています。

基本は、各部署にて、一定の採用裁量をもって頂きますが、採用の最終判断は私の担当でもあります。判断基準は会社のカルチャーにフィットしているかどうかです。その際何よりも気をつけているのは、一点。まだまだ僕らは選ぶ立場の会社ではなく、選ばれる立場の会社です。Alpacaを快く選んでもらえるためにも、弊社の足りない・イケてない部分を正直に応募者の方にも伝えて、入社前と入社後のギャップを事前にしっかり解消し、ビジネスにDay 1からガッツリ入って頂けるようなコミュニケーションをすることが、フェアーであり最も大事なことだと思っています。

優秀な人材を確保するために、経営者が努力すること

四元盛文氏

―スタートアップの資金には限りがあります。一方、応募者には希望もあるし、特に海外の人材はグローバルな基準で相場感を持っています。待遇、特に給与面はどう考えていますか?

エンジニアについては、日本でAIの会社で働こうと考えると選択肢はそれほど多くありません。トップグループの会社は決まっているので、そこより劣る部分は採用、応募双方の共通認識として持ってもらっています。インフラ部門は、すでに責任と立場を持っている方が多いので弊社への転職で収入は下がってしまいます。

ただ、それを代替できる自己実現の場をどのように会社として提供できるかがとても大事なことだと思っています。もちろんのことながら昇給等も積極的に実行しています。現在、様々な人材が弊社では活躍してくれているので、評価制度等についても今後もどんどん改善していきたいと思っています。

―来る人もいれば去る人もいると思いますがどのようなケースがありますか?

一度縁ができたからには、長く働いて欲しいともちろん思っています。しかしながら、当然転職先でより良い立場や待遇が得られるというケースや、会社の期待にそぐわないケース、ご家族の事情等の様々なケースもあります。それがご本人にとっての新たなチャレンジとして英断された方には喜んでサポートします。組織として接することよりも、まずは人としてしっかり接することが何よりも大事だと思っています。私自身がそのような生き方・接し方を今までしてきたので、そのスタイルは変えずに接しています。

―技術はトレンドの変化が激しい領域です。その中での人材育成、組織の作り方はどのように考えていますか?

社員には技術ドリブンではなく顧客ニーズドリブンでないとビジネスの世界で通用しないということは常に伝えています。技術のトレンドもそうですが、顧客のニーズも様々変化します。もちろんのことながらその中で様々な先端技術をトライ&エラーしながら、顧客の元へデリバリーすることと、勝てるサイエンスへコミットすることがとても重要と考えています。

このような考えを会社に浸透させるため、2週間に1回はチームビルディングのZoomミーティングを持つようにしています。現在は新規事業を準備していることもあって、従来と別領域の人が増えています。だからこそ、メンバー間のコミュニケーションは重要です。先日も新たなチャレンジと開発に成功したAIエンジニアに自分の案件をプレゼンしてもらい、案件に関わってくれたすべての人に感謝の言葉を伝えてくれました。エンジニア内のみならず、コンプライアンスやバックオフィスのメンバーにも「Thank You !」と同時に拍手が沸き起こりとても良い場面でした。こういうことの繰り返しがとても大切と考えています。

少し古臭いですが、昔ながらの飲みニケーションもやっています。今はリモートワークを当然推奨していますし、賛否両論あると思いますが、コミュニケーションの形に完全なスタイルはないので、自分の時間は社員の皆さんの時間でもあると思っています。

スタートアップで活躍できる人材とは

―数多くの転職希望者にお会いしていると思いますが、向いていないと思われる人材についてもお聞かせください。

エンジニアに限らず、高学歴の方で研究のレベル、様々の領域でのご実績等、素晴らしい略歴をお持ちの方でも、チームワークやご自分のアウトプットの仕方や、新たなチャレンジに対する前向きな姿勢に欠ける方も多くいらっしゃいます。よくスタートアップの世界では、Fail Firstみたいな言い方をしますが、過ちをおかすことよりもおかさないことを恐れるべきで、年齢関係なく自分の能力に限界はないと信じて、日本をもっと盛り上げていきたいですよね。

決して転職を勧めるわけでもありませんし、転職を経験することなくひとつの会社に従事されることも素晴らしいことだと思いますが(私もサラリーマンを始めたときは当然そう思っていました 笑)、やはりこれからの時代は、会社の価値観と個人の価値観が一致することがより大事だと思ってます。なので、僕自身が常にチャレンジして、もっと幸せになりたいと思い続けることが、社員全員の成長と成功につながると思っています。もちろん簡単なことではないですけど。自分の成長について諦めないで欲しいと思います。

―最後に、これまでのキャリアの中で総合商社は90年代、外資系投資銀行はリーマン・ショックの頃非常に大きなリストラがあったと思います。それを経験した上で、人と会社のあり方をどう考えるかお話頂けますか?

カルチャー、ビジョンなど言葉は変えていても、大事なのは企業体としての規律です。企業人である以上は、その枠の中で生きていけないときついですね。一方で、会社側は寛容でなければならないとも思っています。

管理職は仕事を命令として課してしまいがちですが、がむしゃらに働けばいいわけでもないし、従業員のひとりひとりは当然の権利を持っていることを理解しないといけないと思います。企業としての規律、社員の自由意思というものを理解してマネージするのが経営者の役割だと考えています。あとは、何があっても心から笑うことですかね。



越智 岳人

越智 岳人

 インタビュアー/ライター 


編集者・ジャーナリスト。現在はフリーランスとして技術・ビジネス系メディアで取材活動を続けるほか、ハードウェア・スタートアップを支援する事業者向けのマーケティング・コンサルティングや、企業・地方自治体などの新規事業開発やオープン・イノベーション支援に携わっている。

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