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「攻め続けなければ企業は生き残れない」
  デジタルHD野内CEOが語るデジタルシフト事業のDX人材戦略

株式会社デジタルホールディングス

※このインタビューは2021年1月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
野内敦 氏
株式会社デジタルホールディングス
代表取締役社長 グループCEO 野内 敦 氏

2020年4月、株式会社デジタルホールディングス代表取締役社長に就任。同社共同創業者。2006年からCOO、その後数々の戦略子会社の設立・運営に携わる。2013年より投資育成事業の責任者として陣頭指揮を執り、出資先への経営指導やビジネスモデル開発において、数多くのベンチャー企業のIPOを支援し大きな成果を納める。現在はBonds Investment Group株式会社の代表取締役を兼務。

オプトホールディングは、2020年7月に社名をデジタルホールディングスに変更。情報をアナログからデジタルへと変換するデジタイゼーション、プロセスをITによって効率化するデジタライゼーション、この2つを基盤として産業構造やビジネスモデルをアップグレードさせるDXと、これら3つのデジタル活用を包括して「デジタルシフト」と定義し、ネット広告代理店からデジタルシフトカンパニーへのシフトを宣言しました。その背景にある広告業界の変遷や、DXを推進していくための組織や人材育成について伺いました。

アップグレードしないと生き残れない広告業界

― 今ビジネスの世界全体がデジタル技術によって変わろうとしています。これまでインターネットが最も影響を与えた業界は広告と小売と言われます。一方で、全てがネット広告に置き換わったわけではなく、テレビCMや新聞広告も健在に見えます。まず、広告業界で今、何が起きているのか、教えてもらえますか?

広告費はGDPに連動するものです。そのGDPが増えていません。ということは、広告費も頭打ちということです。現在GDPが550兆円くらいで、広告費は6兆9千億円(2019年)。これが業界のパイの大きさです。そこへGAFAに代表されるエージェントを通さない広告業態が海外からどんどん入ってきています。

さらにコンサルティング会社との境界も無くなってきている。そうした中で既存の広告代理店は下位の会社はみな赤字です。大手も海外でM&Aをしたり、大手同士で合併したりと業界内の棲み分けも大変革の真っ只中です。そして、みなデジタル系の会社を取り込もうとしています。デジタルを絡めない会社は単独では存在できないですね。広告業がコモディティー化しているので、アップグレードしないと生き残れないというのが現状です。

―元々野内さん達が1990代にオプトを共同創業した時は、FAXを使った広告業が主体でした。その後インターネットがやってきて、FAXは廃れつつあります。あの時どうしてネットに乗り換えることができたのですか?

元々FAXを使った広告業を創業した理由は、FAXというものが資本を必要としなかった、つまり若かった頃の自分たちが起業するのにぴったりのツールだったからです。インターネットに乗り換えたきっかけは、1998年頃、当時普及期だった携帯電話の販売プロモーション企画のコンペティションでネットの会社に負けたことです。FAXとインターネットのレスポンス率は、その当時は一緒でした。圧倒的に差がついたポイントはキャンペーンの応募データの入力のところです。

当時インターネットはまだダイアルアップでしたが通信費でも負けました。それまではFAXが新しい通信インフラだ、音声通話はなくなる、と思ってやっていましたが、ここで目が覚めました。すぐにネットにシフトしようと決めました。ネット事業部を立ち上げ、2000年にはFAXの事業を売却するところまで来ました。今にして思えば、あの時アナログプロモーションからデジタルへのシフトを経験していたことになりますね。

―2020年7月に商号をデジタルホールディングスに変更し、広告事業からデジタルシフト事業へ業態そのものを変えるとおっしゃられています。野内さんはDXを、どのように捉えていますか?

私が言うDXとは、デジタル化によって新規事業そのものを作る、ということを意味しています。「DXでコスト削減」という売り込みはよくありますが、その価値は下げたコストの総量です。コストはゼロにはなりません。一方でDXを、まだ発生していない利益を実現させると言う方向に使えば、そこに限度はありません。例えば今まで電話営業していたものを、デジタルツールを使うコミュニケーションに置き換える。やっていることは同じでも、データが残ります。

このデータの活用によって、今まで商売と思われていなかったことがビジネスになる可能性があります。製造、販売、ユーザーという構造はどの業界にもあります。実はこの真ん中のプレイヤーのデジタル化が遅れています。ここをデジタル化すると今まで捨てられていた膨大なログが溜まります。そのデータを使って効率化して、もっと物やサービスが売れる仕組みを作っていく。多重構造がある世界は全部DXで変わりますね。

―例えば明治維新の頃の日本には欧米諸国というお手本がありました。これからデジタルシフトをしていく上で、何かロールモデルはありますか?

特定のロールモデルはありません。ただ、5年前から始めたベンチャー投資を通じて得たスタートアップから受けた影響は大きいものですね。何もないところから始まって、事業開発して、あっという間に数千億の企業価値を作っていく。デジタルネイティブの発想には刺激を受けています。

経営者が考えるDX人材とは

―新しい業態を作るということはこれまでにない能力が必要と思います。必要な人材はどのように作っていくのですか?

経営層と現場では入ってくる情報量が圧倒的に違います。全方位から入ってくる情報に基づく経営層の意思決定を社内に浸透させるためには、時間をかけることが必要です。実際、私がデジタルシフトを言い始めたのは2年前からです。まず助走して、それから経営体制を変更しました。月一回グループ全社会議というのを始め、そこで統一したメッセージを出しています。今ではオンラインでほとんどの社員参加しています。

もちろん、社内向けの研修もやっていますし、広報部門は「Digital Shift Times」というメディアを運営し、社内外に向けた情報発信を行なっています。顧客に対しても同じです。まずトップの啓発を目的に、経営層に向けたデジタルシフトアカデミーという教育プログラムを用意しています。今第三期を終え、これから第4 期を募集します。

次にデジタル事業部門を作りましょうという提案ですね。デジタル事業部門を立ち上げるにあたって、まずはCDO(チーフデジタルオフィサー)を置きましょうという提案をします。いわゆるBTC(ビジネス、テクノロジー、クリエイティブ)人材を揃えれば、デジタル事業は作れます。バーチャル CDMO(チーフデジタルマーケティングオフィサー)というプロジェクトも始めています。

―大組織のマネジメントは大変です。新しい業態にチャレンジを行うにあたって、どのようなチーム作りを考えていますか?

創業者数人で始めた会社ですが、100人を超えたところで全員と直接のコミュニケーションはできないと悟りました。そうなると間接的にマネージメントするしかない。全てを自分で把握することはやめて、現場からの情報は、要所要所に適任を配置して経営陣に回ってくるようにすればいい、と割り切りました。むしろトップは方向を示すようにしています。

組織が急拡大すると、苦労を共にしてきた古参のメンバーと新規に入ってくるメンバーとの間で葛藤が問題になりますが、叩き上げてきた人間は理念を共通にしているという強みがある一方、その場ですぐ通じる新しいスキルを磨く機会が少ない。ネットのビジネスは3年、5年と悠長に待つと言うことはできないので、外部から人材を招くことも必要です。どっちがいいというものではなく、ハイブリッドでチームを作ることが正解だと思います。

―最後にDXによる変革に踏み込む背景、モチベーションをお話し頂けますか?

野内敦 氏

一番の原動力は危機感ですね。顧客のニーズは新規顧客獲得から、顧客体験の極大化に変わってきています。これまでのデジタルマーケティングだけをやっていては顧客ニーズをカバーできない、と日々のビジネスの中で感じています。広告費は企業の年間予算のX%という世界です。

これに対して新規事業はそれこそ年間の売り上げ、或いはそれ以上をつぎ込む時もあるので、案件規模が桁違いに大きい。弊社はここを取るだけの力を培ってきましたし、ポジションも確保していると思っています。攻めなければ企業は死ぬ、攻め続けなければ生き残れない、そういう覚悟で取り組んでいます。

越智 岳人

越智 岳人

 インタビュアー/ライター 


編集者・ジャーナリスト。現在はフリーランスとして技術・ビジネス系メディアで取材活動を続けるほか、ハードウェア・スタートアップを支援する事業者向けのマーケティング・コンサルティングや、企業・地方自治体などの新規事業開発やオープン・イノベーション支援に携わっている。

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