DX時代、顧客の新たな価値「共創」に対応すべく、オープンな組織に生まれ変わるアビームコンサルティングITMSセクター

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一岡 敦也氏(左)と下田 友嗣氏(右)

 

 

あらゆる業界でDXが進む中、事業会社がコンサルティングファームに求めるものが大きく変わりつつあります。これに伴ってコンサルティングファームの中でも、プロジェクトの質やコンサルタントに必要なスキル・資質、働き方など、さまざまなものが変わり始めています。

 

実際にどのような変化を遂げているのか、アビームコンサルティングで2020年にITMS(ITマネジメント&サービス)セクター長に就任し、組織変革に取り組む一岡敦也氏と、同セクターでアジャイル領域のリードと、人材管理・育成を担うシニアマネージャーの下田友嗣氏に、JACリクルートメントでコンサルティング業界におけるデジタル人材の採用支援を担当する榮多綾香と島田祥希がインタビューしました。

 

 

目次

 

 

<インタビュイー>

一岡 敦也氏
アビームコンサルティング株式会社 執行役員 プリンシパル デジタルテクノロジービジネスユニット ITMSセクター長

大手SIerを経て、2003年入社。金融機関の大規模BPRプロジェクトでのチームサブリーダーからコンサルタントとしてのキャリアをスタート。

 

製造業、金融におけるIT企画・戦略領域から大規模基幹システム構築のマネジメントまで幅広いサービスを提供。タイへのプロジェクト駐在後、ダイレクターとなり、その3年後プリンシパルに。2020年、ITMSセクター長に就任。

 

専門分野:ITストラテジー/プランニング,テクノロジーマネージメント,アウトソーシング

 

下田 友嗣氏
アビームコンサルティング株式会社 シニアマネージャー デジタルテクノロジービジネスユニット ITMSセクター

大手SIerを経て、2014年中途入社。

 

保険会社のプロジェクトのPMとしてコンサルタントのキャリアを踏み出した後、総合商社・保険業界などを中心に、新規事業創出、DX人財戦略、構想策定・業務変革からIT導入まで幅広いサービスを提供。特に、事業と人財の創出、アジャイルアプローチを駆使した価値創出を得意とする。

専門分野:ITストラテジー/プランニング,テクノロジー&マネージメント

 

<インタビュアー>

 

榮多 綾香

新卒でIT企業入社後、2017年に中途でJACに入社。一貫してコンサルティング業界を担当。

ITコンサル~戦略・業務コンサルまで幅広く経験を有す。

 

島田 祥希

2013年に新卒でJACに入社。日系IT企業、外資系IT企業の担当を経て、2020年よりコンサルティング業界を担当。現在はITコンサル領域、及びAI、データ、サイバーセキュリティ等、特定のテクノロジーを活用したコンサル領域を担当するチームのマネジメントに従事。

 

 

1.急激に変化する顧客ニーズに対応できるITMS組織を整える

 

──一岡様の現在の役割・ミッションについて教えてください。

 

一岡氏:現在はITMSセクターのセクター長として運営を任されています。ITMSセクターはテクノロジーとマネジメントをコアとしており、現在は特に、DXを必要とするお客様に対して、企業変革と新たな価値創出のコンサルティングに注力しています。

 

700人近くの大所帯ですが、昨今の市場の変化を受け、組織としてのスピード感を出せるようセクター内の連携について、コンパクトにすることに取り組み続けています。

 

また、アビームコンサルティングは2021年に創業40事業年度を迎え、新たな成長戦略を打ち出して躍動するタイミングにあります。

 

その中で、全社横断で主導しているテーマがいくつかあります。そのためITMSセクターの運営に留まらず、そうしたテーマとアビームの戦略、そしてITMSの成長戦略を各案件や人材育成に連携させていくことが今の私の最大のミッションです。

 

アビームコンサルティング執行役員の一岡敦也氏

 

 

──全社横断で推進されているのはどのようなことですか。

 

一岡氏:基本的にコンサルティングサービスとは、お客様のホワイトスペースを見つけてそこを埋める支援することですが、このホワイトスペースが刻々と変化しています。

 

現在お客様のニーズとしてDXがある中、そのニーズや市場の変化を踏まえた上で、アビームの成長戦略として新たな価値、新たなビジネスをどのようにクリエイトしていけばよいのかを、全社横断で考えています。

 

また、コンサルタントに求められるスキルセットやケイパビリティも変わってくるため、その変化を踏まえた全社横断の人材育成戦略策定や、我々がこれまで強みとしてきた領域においてコモディティ化してきた部分のデリバリーモデルをドラスティックに変革しようとしています。

 

 

 

──コモディティ化しているというのは、例えば貴社の強みでもあるSAP関連のサービスも含まれるのでしょうか。現在も、「アビームといえばSAPでは」というお声を頂くこともあるのですが実態はいかがでしょうか。

 

一岡氏:我々アビームとしてはこれまで、SAP活用をコアに強みを形成してきましたし、今後もそれは変わらぬ強みであると考えています。

 

ただ、他社が追従してくる中で、領域によってはコモディティ化している部分があります。そこは無理にコンサルティングの一環としてバリューを提供するのではなく、その分、次のステージに向けて新たな強みを創ることに今取り組んでいるところです。

 

 

──新たな強みとなるのは、現時点ではどういうものになりそうですか。

 

一岡氏:DXが加速する中、お客様の経営基盤をしっかり熟知していなければ、全体感を持ったトランスフォーメーションは図れないと考えています。

 

我々がこれまで、経営基盤の構築支援をしっかりとやってきた強みを生かしつつ、お客様の新しいビジネスを創り、新たに価値創出する領域を広げていくのが次のステージだと考えています。

 

 

 

──最初にITMSの組織をコンパクトにという話がありましたが。

 

一岡氏:組織を小さくするという意味ではありません。ITMSが大所帯になり、その中でさらにIT戦略系、アプリ系などとサービスラインを細かく分けていた中で、どうしてもサイロ化してしまう部分がありました。

 

しかし、事業会社のお客様のニーズが急激に変化するにあたって、期待に対して“面”で対応する必要があります。そのために、組織内の壁を取り払い、横との連携あるいは縦、斜めも含め、組織に神経を通してつなげていくことを重視して、取り組みを始めたということです。

 

 

 

──下田様の役割・ミッションはどのようなものでしょうか。

 

下田氏:私のミッションは、価値創出領域のビジネスをしっかりと創り、価値創出領域におけるAbeamのケイパビリティを拡大してくことだと理解しています。

 

これまでのプロジェクトは、すごく簡単に言えば、「ITコストを削減したい」といった単一の問題を解決するものが大半でした。しかし今、新しいビジネスを創り、今までにない価値を提供していくことが求められる中で、我々に課される問題は“総合問題”になってきています。

 

また、従前であればコンサルティングサービスとして提供したことをお客様自身ができるようになっている、コモディティ化している今、我々には単純な「手段の提供」や「解決策の提示」以上のものが求められるようになってきました。

 

そうした中で、新しいビジネスや今までにない価値を創出していく上では、「How(どうやって解決するか)」ではなく、「What(何をするのか)」や「Why(なぜその事業をするのか)」のレベルからお客様と一緒に考えていく必要があります。そういったサービスのケイパビリティを、深さ、幅、ともに広げていくことが私のミッションです。

 

アビームコンサルティング デジタルテクノロジービジネスユニット ITMSセクターシニアマネージャーの下田友嗣氏

 

また、私はITMSセクター全体の人材管理・評価・育成、中途・新卒の採用なども担っています。

 

私がアビームに入社してから、アビームの一番の強みだと感じているのは、組織を縦割り、細分化しすぎていない分、クライアントの課題に応じて最適なチーミング(Teaming)をすぐに取れることです。

 

その強みをさらに伸ばすべく、現在、ITMSの700人それぞれがどのような経験を持ち、どういうことができるのかをポートフォリオとして組み始めており、よりチーミングのスピードと精度を上げていこうと考えています。

 

1人1人のコンサルタントが「売れるコンサルタント」になることを支援しつつ、全社方針や全社横断のイニシアチブとのアラインも見極めながら、組織としても会社としても、お客様に対して今以上にバリューを発揮していくことが求められているという認識です。

 

 

 

2.プロジェクトを「任される」から、新しい価値を「共に創る」パートナーへ

 

──お客様のニーズが急速に変化してきているという話がありましたが、どのような変化だと捉えていますか。

 

一岡氏:最近、お客様と話をする中で、「我々と同じ目線でものを考えてほしい」というフレーズをよく聞きます。

 

これまで伝統的にコンサルティングファームに求められてきたのは、お客様の中のホワイトスペースを埋めることでした。

 

しかし、お客様がITを内製化するなどして筋肉質化する中で、「ホワイトスペースを埋めるのを任せる」という依頼ではなく、それを「自分たちと一緒にやってほしい」という「共創」のパターンが増えてきたと感じています。それは、IT系、Non-IT系にかかわらずの傾向です。

 

お客様と肩を並べて取り組むことになると、事業や企業の成長に対してコミットメントが求められますし、我々への期待値は以前よりも高くなり、評価も厳しくなります。プロフェッショナルサービスを提供すべきコンサルタントとして、お客様の期待値を超えなければいけませんし、よりハードルは高くなったといえます。

 

 

 

──そういう意味では、業界知見がコンサルタント1人1人に求められる要素になってくるのでしょうか。

 

一岡氏:求められることは確かです。ただ、今はインダストリー間の垣根を越えた新しいビジネスや取り組みが求められており、特定の業界だけの知見があってもそれで未来を見通せるわけではない世界になってきています。ですので、クリエイティビティがより重要になってくると思います。

 

 

下田氏:以前は、我々の目線はプロジェクトに当たっていました。そのため、「このプロジェクトは何を目的にしているのか、何を効果として期待しているのか」などを把握するだけでした。

 

しかしお客様と「共創」する現状においては、プロジェクト以前に、お客様が企業として社会や顧客に対して「どういう価値を提供したいのか」「どのようなインパクトを与えたいのか」「10年後または20年後にどういう世界を創りたいのか」を理解するところから始まります。プロジェクトの成功という小さなスコープで見ていると、お客様からの期待には応えられないと思います。

 

 

 

──コンサルティングの難度が上がったということでしょうか。

 

下田氏:難しくなったのではなく、アンテナを巡らせなければいけない範囲が広がったという言い方ができると思います。

 

私がSEからコンサルタントに転職した時は担当していた目前のプロジェクトの遂行だけに意識が向いていて、お客様が中長期的に何をしたいのかを積極的に知ろうとする努力はしていませんでした。

 

今は定期的に中期経営計画を見返して、中長期の視点でクライアントがどのようなビジョンを見据えているのか、そのために短期ではどういうことをやっていこうとしているのかを理解するようになりました。

 

先ほど一岡がお話しした、「我々と同じ目線でものを考えてほしい」というお客様の言葉の意味は、より具体的にいうなら「クライアントが中長期的に達成したいこと、例えば中期経営計画がコンサルタントの頭にインストールされている」ということだと思っています。

 

 

 

3.小さな失敗を推奨し、変化を恐れずチャレンジするコンサルタントを育てる

 

──そうしたビジネス傾向の変化を踏まえて、現状のITMSセクターの課題があればどのようなものかを教えてください。

 

一岡氏:コンサルタント1人1人がある程度自律的に成長していくようになれれば、組織のような「箱」は要らないと私は考えています。

 

ただ、そこまでまだ至っていない現状としては、自発的に成長していける人そうでない人の濃淡があると思っていて、それが自然と行われる文化を醸成していかなければならないと思っています。

 

また、ITMSがテクノロジーとマネジメントをコアバリューにしていくのは今後も変わらないのですが、テクノロジーの進展によってカバーしなければならない面積が急速に広がっています。その中で、いかに先見性を持って狙いを定めていくかは大きな課題です。

 

これは恐らくある時点で答えが出るというものではなく、永遠の課題だとは思っています。とはいえ、先々を見通してデザインからリアライズまでをやっていく我々としては、組織としてその構えを作る意味で、さまざまなトライを繰り返しながら模索しているところです。

 

 

下田氏:今の課題を1つ言語化するとしたら、「変化を恐れる人がまだ少なからずいる」という表現ができると思います。ですので、最近は「変化することの楽しさを伝えるには何が重要か」を常に考えています。

 

これからチャレンジしてみようと思っている施策は、「失敗した数をKPIとして設定してみる」ことです。新しいことには失敗がつきものです。もちろん、成功・うまくいったことはしっかりと評価することを前提として、どんな失敗を、どれだけ経験したかにも目を向ける。

 

成功を求めると、過去に経験がある、得意な領域に固執しがちですが、失敗の数を大切にすることで、新しいこと、変化することに挑戦できるのではないかと考えています。私自ら、失敗の経験を皆に共有する、そうすることで、変化を恐れずにチャレンジするマインドや文化が醸成できるのではないかと考えています。

 

 

 

4.働き方のコントロールにも自律性が求められる

 

──働き方改革も推進されていらっしゃるとお聞きしています。その推進度合いや、コンサルタントの働き方に関しての考え方を教えていただけますか。

 

一岡氏:コンサルティングファームは昔から激務のイメージがあると思いますが、今は逆に我々のような企業のほうが大きく環境変化を遂げていると思います。

 

アビームでは2年ほど前から全社として「働き方を変えていく」というメッセージを強く打ち出しており、メリハリをつけて働くカルチャーがかなり社内に浸透してきました。

 

やはりお客様に合わせる部分があるので、仕事の繁閑の波があることは以前と変わりませんが、働き方を変えてワークライフバランスを取っていくということを、1人1人が自律的にやり始めているのが今のステージだと思います。

 

 

──働き方の面でも、自律的に動けるかが問われるわけですね。

 

一岡氏:もちろん会社としてもサポートはしつつも、プロフェッショナルとして、ある程度自分でもコントロールする意識を持つことは大事だろうと思います。

 

 

 

5.先を進む技術に人間のアイデアが追いついていない時代に必要なのは“他流試合”

 

──最後に、採用したい人材像について教えていただければと思います。中途で入社されてご活躍されているのはどのような方が多いのでしょうか。

 

下田氏:最近入社された方で活躍している人の特徴として、1つは圧倒的な主体性が挙げられます。自分のことだけでなく、他人のことも自分事のように思える方は、すごく活躍されていますね。

 

もう1つは、フットワーク軽く動ける人。技術や経験にかかわらず、そういう方の活躍はやはり目立ちます。何より、アビームの文化としてそういう方を支援する文化ができてきたと思います。

 

 

──シニアコンサルタントもしくはマネジャーとして入社されるような方は、転職先を検討する際に他のファームや製品ベンダー、事業会社などでのキャリアも視野に入れている方が多い状況です。そのような方にお伝えしたい「コンサルタントとしてのキャリアの魅力」、「アビームコンサルティングというフィールドの魅力」を教えてください。

 

下田氏:昔は「アイデアが先行して、技術が追い付いていない時代」だったと言っても過言ではないと思います。でも今はその逆で、技術が進んでいて、人間のアイデアが追い付いていない。この技術をどう活用してビジネスをしていけばいいのかわからない」状況だと思っています。

 

そういう状況の中で、自分が自己実現をしていくためにはどういう考え方を持つべきか。そう考えると、“武者修行”とか“他流試合”といったものがキーワードになると思います。とにかく、自分自身を色々な環境に置いてみること。様々なお客様、プロジェクトメンバーと協働し、接点をもつことで自分自身を鍛えていくこと。そうすることで自己の感性が磨かれていく。

 

それが最もできるのは、コンサルティング業界だろうと思います。とりわけアビームは「人」をよく見ていて、クライアントの課題解決のため、最適なチーミングをすることに優れています。ですから、様々な領域のプロフェッショナルと共に働き、“他流試合”で切磋琢磨しレベルアップしたい方には最適だと思います。

 

 

一岡氏:“他流試合”という話が出ましたけれども、多様なお客様に対してプロフェッショナルサービスを提供していきたい方は、やはりコンサルティング業界しかないと思います。

 

その中で、アビームの大きな魅力は、「One Abeam」としてチームワーク力をもってチャレンジしていくカルチャーにあると思います。この部分に関しては、業界内でも突出しているところだと自負していますし、そういう環境で自分自身を成長させたい方にはベストな環境だと思っています。

 

左から下田 友嗣氏、一岡 敦也氏、JACリクルートメント 榮多、島田

 

 

 

 

 

ライター:畑邊 康浩

編集者・ライター。語学系出版社で就職・転職ガイドブックの編集、社内SEを経験。その後人材サービス会社で転職情報サイトの編集に従事。
2016年1月からフリー。HR・人材採用、IT関連の媒体での仕事が中心。

 

 

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