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【イベントレポート】自分のキャリアをどう表現する?
澤流キャリア棚卸しのススメ

公開日:2024/01/29 / 最終更新日: 2024/01/29

終身雇用の時代は終わったといわれて久しい現在、会社からの評価だけでなく、自分軸で今後のキャリアを考えていくことが大切です。生涯現役時代で、私たちはどのように中長期のキャリアを創っていけばよいのでしょうか。

今回はJAC Digitalのアドバイザーであり、自身もITエンジニアから世界的外資IT企業の執行役員に就任、現在は独立してキャリアに関するセミナーを数多くこなす澤円氏に登壇いただき、強いキャリアを創るために大切なマインドセットや、実際に「どのように整理していくのか」などの澤氏の経験に基づくキャリアの振り返り方についてお伝えします。

※本記事は2022年2月22日にJACデジタル が開催したオンラインイベントを一部抜粋・再構成したものです。


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所属ではなく、タグで行う自己紹介


自分のキャリアの棚卸しをすることは、自己紹介ができるようになることと、ほぼイコールです。転職を検討している人もそうでない人も、自己紹介は人生で一番多く行うプレゼンテーションといえるでしょう。まずは私のキャリアを2つの方法で紹介してみます。

私はJAC Digitalのアドバイザーで、株式会社園窓という一人会社の代表取締役です。以前は日本マイクロソフトで業務執行役員を務めていました。現在は、日立製作所Lumada Innovation Evangelistや、 SBテクノロジー、デジタルシフト、鹿島建設、ファストドクター、m-lab 神奈川ダイハツ販売での顧問を務めています。インターネットラジオのVoicyでのパーソナリティや、武蔵野大学の客員教員、琉球大学の客員教授もやっています。

いかがでしょう? 今挙げた情報はきわめて具体的で、勤めている場所や契約している相手は分かりますが、僕自身が何をしてくれる人なのかは不明確ですね。キャリアの棚卸しをする時に、多くの方々が自分の会社や部署を書いてしまいがちです。しかし、それだけでは、いったい何の役に立つ人なのかがさっぱり分かりません。

次に、SNSで情報を見つけやすくするハッシュタグのような「タグ」をつけながら自己紹介してみます。

私の得意分野は #テクノロジー全般 や #サイバーセキュリティ です。プログラマーとして就職してから、ITコンサルタントとしてITツールを手広く扱ったりサイバーセキュリティ部門の仕事をしていたので、この辺りには詳しいです。途中でマネジメントに職種転換したので、#ビジネスマネジメント や #ピープルマネジメント というタグもありますね。#プレゼンテーション も去年だけで300回以上行いました。また、先ほど紹介したようにさまざまなことをやっているので、#マルチキャリア や #セルフブランディング という文脈でお話をすることもあります。個人的なところでは、東京都内と千葉での #多拠点生活 にも取り組んでいます。

こうしたタグを使った自己紹介は、情報としては抽象的かもしれませんが、何をしている/何をしてくれる人なのかが分かりますよね。チームに入った時に、どのように貢献してくれるかの想像がつくので、周囲の人たちは具体的な期待が持ちやすくなります。

情報としては所属や経験も必要ですが、一番大事なのは、転職した先でどれだけ貢献できるかということです。「自分が他人をハッピーにする方法」はなんだろう? と考えて、貢献の仕方を表すつもりで自身にタグをつけてみてください。

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栄光は失敗とセットで話す。弱みを含めた自己開示


キャリアを考える際には過去と向き合い、受賞歴や得意分野などの栄光や武勇伝もうまく伝える必要があります。成功した話だけを語るだけでなく、苦労話とセットにすると、自分は話しやすく、相手は聞きやすくなることも覚えておきましょう。失敗や苦労を乗り越えたうえで今があることを伝えると、強固な基盤の上に成り立っている人だという印象づけができます。

僕もキャリアの話をする際には、いかに自分がポンコツであるかを必ず話すようにしています。「私はこれだけポンコツで苦労して、失敗もたくさんしました。だけど、たとえばプレゼンテーションは得意で、社内で栄誉ある賞を取ったこともあります」という具合に、自分の苦手なことと得意なことをセットで話すとよいでしょう。

特に30代以降のキャリアでは、つまらないプライドがあると大きな足かせになります。自分が苦手なことを伝えることや人に助けてもらうことをためらったりすると、付き合いづらく居場所のない人間になってしまいます。自分の弱さやダメなところも含めて、周囲に自己開示する勇気を持つことが非常に重要です。

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キャリアを盛るなら、成長できるロジックを持て


確実に雇ってもらうために「自分のキャリアを盛ってもよいか?」と尋ねてくる人がいます。僕が許可する話ではないので、自由にしてもらえばよいのですが、「自分に嘘をついていないかどうか」は気をつけた方がいいポイントです。

話を盛って転職したとしても、転職後にその嘘がバレると、周囲からの信用が大きく下がります。日本は特にそのペナルティが厳しい印象があります。

外資系企業やベンチャー企業に「日本語ができる」といって入社した外国人の方が、「ありがとうございます」「いただきます」程度しか話せなかった、なんていう話もあります。ですが、彼らにとって、これは必ずしも嘘とは限りません。なぜかと言うと、彼らには未来で実現する自信があるからです。時間はかかるかもしれないけれど、いずれ日本語を話せるようになるというスタンスをとっているわけですね。

言い換えるならば、キャリアを盛るのは構わないが、それを「未来で実現する自信があるか」を問われます。未来で実現する根拠を語る時に必要なのは、自分の鍛え方のロジックです。自分にはこういった弱みがあるけれど、同時に別の強さや耐久力がある。弱い部分は人にサポートしてもらい、必要とあらば継続的に自己研鑽していく・・・といったように考え方と姿勢を整理してください。弱い部分を認めながら、将来的にも続けられる強みの研鑽方法を含めて、成長していくためのロジックを持ちましょう。

これらのデータベースの構築、分析、可視化業務に加えて、連携先となるクラウドサーバの運用経験をお持ちの方は有利です。 流通や小売業界ではデータを活用したDXが比較的進んでいることから、コンシューマーなど外部向けのデータ活用の経験を求める求人が現時点では多い傾向にあります。今後は対象が更に広がり、知財やサプライチェーン関連の情報、更には経営管理情報といった社内向けデータにも及ぶことが予想されます。

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何者かになる必要はない。理想像に近づく方法


キャリアの棚卸しをする際に「自分は何者でもない」と萎縮する人がいますが、そのように思う必要はありません。あなたは既に「あなた自身」になっていると認識しておかないと、自分ではない外部、例えば会社名や与えられた肩書きに依存するようになってしまいます。役職名や具体的なポジションは、あなたが会社という仕組みの中で貢献して、結果として後からついてくるものにほかなりません。まずは、自分の強みと弱みを把握して、組織に対して貢献できる方法を理解することです。

その際に、他人と競う必要は全くありません。他者よりも優れている/劣っていると考える必要はなく、絶対値として、昨日の自分よりも今日の自分の方が優れているという状態をいかにつくるかにフォーカスしてください。

理想的な自分に近づく方法の一つは、実在の人物でも空想のキャラクターでもよいので、憧れのヒーロー/ヒロインを想像して、その特徴を分析することです。
僕はルパン三世が大好きなのですが、彼はいつも楽しそうで、アイデアが豊富で、いろいろなことができるし、なにより優しいですよね。このように、憧れのヒーロー/ヒロインに抱いているイメージを、言葉としてタグに落とし込んでいくと、ありたい自分の姿が具体的にみえてきます。

そのようにして浮かび上がってきた理想像に対して自身を鍛えて近づけていこうとすれば、納得感のあるキャリアアップにつながると思います。

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自分の外に物差しを持つ


キャリアの棚卸しをする時の、具体的なアプローチをいくつか紹介します。まずは時間のパラメータを意識してみてください。「長期間取り組んだ」「短時間で習得した」「高頻度で対応した」など、時間の概念を当てはめてみると、自分のなかで得意だったり、通用すると思えるスキルがより説明しやすくなります。

たとえば僕の場合だと、質問に素早く答えることが得意です。なにか聞かれた時に、「短時間で」ぱっと変換して返すことが得意なので、アドバイザーとしての役割に向いています。また、もっと長いスパンで捉えると、テクノロジー業界に28年という「長い期間」在籍していました。業界や技術の移り変わりを知っているし、昔からこの業界にいる人たちとも話が合います。このように、時間を一つのパラメータとして、解釈のルールを自分でつくってみることをお勧めします。

さて、「自分のことは自分がよく知っている」と思い込んでいる状態は、実は一番良くない状態です。ぼんやりとわかっていても、言葉に落とし込めていない状態は非常に危ういので、ぜひ相談相手を作ってください。誰かに話して整理されることは多いので、JAC Recruitmentのエージェントのようなプロの方々にも、ぜひ機会をつくって相談してみてください。一人で自分の殻に閉じこもったり、職場などの身近な人だけと付き合うだけではなく、外の物差しを持つことが重要です。

たとえば、皆さんにはどれくらい社外の友達がいるでしょうか。名刺を持たずに会話できる相手や、仕事にまつわる情報交換をできる相手はいかがでしょう。

一つの方法として、イベントのボランティアなどに参加してみてください。外で活動できる機会を積極的に探して利用して、全く違うコミュニティに参加してみてください。ただ、そこで何かを求めるだけではなく、自分から積極的に貢献することで、得られるものは爆発的に増えていきます。

僕の場合は、現在は上場もしているメガベンチャー企業が、まだ6人しかいない頃から積極的に関わって、いろいろとおせっかいを焼いていました。結果として、僕はベンチャー企業の生態がわかり、上場するまでのプロセスもかなり近いところで見ることができました。慣れていない人がマネジメントに入ることのリスクも学べて、これらが僕自身のタグにもなりました。全て自分から外の物差しを持ちに行った結果です。

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質疑応答|キャリア棚卸しのコツは、コツを求めないこと


Q. 転職にあたってまったく違う職種や業界を考えています。どういったことに注意すべきでしょうか。

いまや職種や業界は普遍のものではなく、境界がどんどん薄れていますから、気にしすぎないでください。たとえばバイヤーさんが仕入れて大きな店舗に並べていた小売業界も、Amazonの登場によってガラッと変わりましたよね。そういった変化があらゆる場所で起こっていくなかで、大事なことは自分のスキルを抽象的に捉えておくことです。僕はIT業界の中で働いていましたが、プレゼンテーションのスキルはどこの業界でも活かせるものだったので、IT業界以外の仕事にもいまではかかわることができています。自分が得意で、抽象化ができて、ほかの業界でも転用できるポータブルスキルを持っていれば、どんな場所でも活躍できるでしょう。

Q. 周囲から転職の理想が高すぎると言われ、自分でも苦しくなってしまうことがあります。

自分の人生なので、他者からの声は無視してよいですし、自分に課したハードルが高いなら、超えられるように自分を鍛えていけばいいだけの話です。

ただ、ある程度まで達成したら一旦のゴールという地点を用意しておくとよいでしょう。いきなり頂上まで行こうとして、たどり着いていないから失敗だなんて思う必要はありません。

Q. 自分に合う求人がなかなか見つかりません。よい条件が出るまで待つべきでしょうか。

僕は求人を待つことにあまり意味がないと思います。限定的な強みや経験だけで戦うのではなく、複数のタグがついた方がよいので、タグを増やすことを目的にしてどこかに飛び込んでみるのも選択肢の一つです。最初から完璧を目指さず、多少は失敗してもいいやと思えるマインドセットを持っている方が、結果的には成功確率も上がるのではないでしょうか。

Q, 自分の得意なことを言語化するコツはありますか?

コツを聞きたくなる気持ちはわかるのですが、まずは脳みそが汗をかくまで、徹底的に自分で考えてみてください。コツは誰かが作った効率的な方法論に過ぎないので、本当に自分で見つけなくてはいけないものを見過ごすリスクがあります。自分のなかでしっかり咀嚼して、自分向きにカスタマイズされた思考法を完成させられたら、結局はそれが一番定着する方法になります。

Q. 自己分析をしてもマイナスの点ばかりが浮かんできてしまいます。

人間は誰しも必ずよいところを持っています。人に「ありがとう」と言ってもらえる機会があれば、それがあなたの得意なことですから、そういった場面を思い出して集めてみてください。そして、その事実に対して、否定的なものを感じる必要はありません。仕事ができる人は、絶対に事実と所感を混ぜません。まずはありがとうといわれた経験があるという事実を受け入れて、そこからAは得意だけどBは苦手、というように事実だけを棚卸ししていってください。


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この記事の監修

澤 円氏

澤 円

株式会社圓窓


株式会社圓窓 代表取締役。元日本マイクロソフト業務執行役員。
現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。2021年4月より株式会社JAC Recruitmentデジタル領域アドバイザーに就任。


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