【イベントレポート】実経験から紐解く外資系企業ーリスクとチャンスをどう捉えるか

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「外資系企業」に対する多くの方が持つイメージとは、「グローバルな環境で働ける」「高年収が得られる」といったポジティブなものもあれば、「成果主義」「人間関係がドライ」「突然解雇される」といったネガティブなものまでさまざまです。しかし、その実態はあまり詳しく知られておらず、いざ外資系企業への転職を検討しようにも「自分には務まるのだろうか?」と不安だけが先行してしまうことはないでしょうか。

 

本セミナーでは、JAC Digitalアドバイザーでもあり、元日本マイクロソフト業務執行役員として外資系企業でご活躍されたご経験を持つ澤円氏にご登壇いただき、外資系企業の実態について、これまでの実経験を踏まえて外資IT企業にフォーカスした内容をお話しいただきます。

※ 本記事は2023年8月31日にJAC Digitalが開催したオンラインイベントを一部抜粋・再構成したものです。

 

<講師紹介>

株式会社圓窓 澤 円氏


株式会社圓窓
澤 円氏

元日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。立教大学経済学部卒。生命保険の IT子会社勤務を経て、1997 年、日本マイクロソフト株式会社へ。ITコンサルタントやプリセールスエンジニアとしてキャリアを積んだのち、2006 年にマネジメントに職掌転換。幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。2020年8月末に退社。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。

現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ。武蔵野大学専任教員。

 

目次

 

1. 外資系企業で求められるスキルとは?

外資系企業で求められるスキルは企業やポジションによりさまざまです。外資系企業におけるジョブ型雇用は、完全成果主義そのもので結果が全てです。ジョブ型雇用は雇用の手段でしかなく、対象のポジションで与えられたジョブがこなせるかどうか、相応のスキルがあるかどうかは採用された時点ですでに確認が終わっているわけです。ですから、あとはポジションでパフォーマンスが発揮できるかどうかにかかってきます。

 

ちなみに気になる英語力ですが、僕の場合、上司が日本人ではなかったので英語はほぼ毎日使用していました。マイクロソフトの場合、マネージャー以上になると本社のステークホルダーと会話が求められるので基本的に英語は必須でした。

 

英語なしで大きな昇格は難しいとは思うのですが、英語が必要かどうかは正直ポジションによるといっていいでしょう。僕の周りには英語がそれほどペラペラではなく、ジャパニーズイングリッシュでも外資系企業で働いている日本人は結構いましたし、語彙力が素晴らしいのに帰国子女ですらない人もいました。僕が仲の良い方で、リンクトインの前日本代表だった村上臣さんは英語が苦手だったものの、マインドの高さやエンジニアとしての知識に長けていたこともあり、長年カントリーマネージャーを務めました。その後彼の英語力は上がって行きましたが、まずは自分の本業で価値を発揮すればいいと思います。

 

 

2. 外資系企業に向いている人

どんな人が外資系企業に向いているのかというと、相手が誰であれ、国や宗教が違ってもコミュニケーションが取れるような、コミュニケーション能力に長けていて、さらに上昇志向が強い人です。また、意外なポイントですがスルー力が極めて高い人も外資系企業向きと言えます。何事にも動じない、細かいことを気にせずに目標達成できる能力はとても重要です。

なお、外資系企業への転職では、カルチャーマッチングが採用時の最重要項目と言っても過言ではありません。カルチャーが合うかどうかをひたすら探すことが、外資系企業を探す際の一つのセオリーとなっています。そのためには、多様性を受け入れるマインドセットが必須条件です。

 

外資系企業への転職は、向いている・向いていないの問題ではなく、「働きたいと思うカルチャーの会社に出会えるか」「その会社に行きたいと思えるかどうか」という本人の気持ちが重要となります。そのような想いがあればいかなる困難も乗り越えられると思いますので、外資系企業への転職を少しでも考えているのであれば、ぜひ挑戦してもらいたいと思います。

 

3. 日系企業と異なる外資系企業の業務の進め方

日系企業と外資系企業では業務の進め方が大きく違います。外資系企業は、とにかく意思決定スピードが早いです。
また「ご挨拶」や「持ち帰って検討する」などの余計な儀式がありません。外資系企業では新入社員であってもかなり権限移譲がされていますので、たとえば「いつまでにこれをやります」といった自分ができることをその場で判断して発言するなど、主体的なアクションが重要視されます。わざわざ自社に戻ってから上司にお伺いを立てたり、仮に失敗したとしても犯人捜しをしたり人格否定をしたりすることはせずに、「何が悪かったのか」「次にどうやったらうまくいくのか」をチームで一緒に考える文化が外資系企業にはあると思ってください。

 

4. 外資系企業への転職は「交渉」と「ポジションマッチング」がポイント

かれこれ二十数年前の話ですが、僕は外資系への転職で年収があまりアップしませんでした。そのころと現在では、転職の内容も考え方も大きく変わってきていますが、現在日系企業から外資系企業への転職で、重要となるポイントは「交渉」と「ポジションマッチング」にあると思います。

外資系企業の求人ではこういう人を探しているという「ジョブディスクリプション(職務記述書)」が公開されますので、それをきちんと読み解いたうえで、自分にはその仕事ができるという自信があれば、ポジション獲得に向けて強気に交渉してもよいと思います。

 

その際、企業と交渉したら年収が上がるのか?というと必ずしもそうではありません。企業はポジションが合っている人を入社させる「ジョブ型雇用」を前提としていますので、そのポジションに合っていると保証されるものがあってはじめて交渉が可能だと思ってください。ちなみに年齢についてはさほど問題になりませんが、年齢が高くなれば、それだけどのような貢献ができるのか、これまで蓄積された経験やスキル、人脈などに対する期待値は高くなります。

なお外資系企業の中には、業務範囲を超えて他者へ貢献することをは非常に大きく評価してくれる会社が少なからずあります。ぜひ覚えておきましょう。

 

5. 外資系企業のレイオフについて

レイオフは皆さんがかなり気になる部分だと思いますので少し触れておきます。外資系企業なのでレイオフはその時の状況によって行われることがあります。僕がマイクロソフトにいた時にもレイオフはありましたが、役職の有無はあまり関係なかったと記憶しています。

 

一般的に外資系企業のレイオフは「ビジネス都合」と「パフォーマンス評価」の二つの面で合理的に判断されます。ビジネス都合とは、たとえば日本市場でこのビジネスはこれ以上伸びないなと判断され部門ごとなくなるようなケースです。この場合、企業によりますが一定期間は給与が保証され、転職活動が出来ることがあります。

 

一方のパフォーマンス評価ですが、通常企業側では「このポジションだとここまでは達成してほしい」といったしきい値を設定しており、そこを越えられずに成果が出せていない状態が何度か続く場合にレイオフの対象と判断されるイメージです。PIP(パフォーマンス改善計画)といった救済措置が取られることもあります。

 

外資系企業は日系企業よりもコンプライアンスに関して非常にシビアですから、PIPで無理難題を押し付けられ、いきなりクビになることはほとんどありません。よって極端に不安に思わなくてもよいと思います。

 

6.質疑応答

Q.希望はIT職種ではないのですが、他の職種はありますか?
A.IT企業=エンジニアと思われている人は多いと思います。しかし、扱っている商材が違うだけで、実際のエンジニアロールは外資系IT企業では非常に少ないです。圧倒的にセールスやマーケティングが多いですが、カルチャーやベースとなる考え方は共通しているので職種がITでなくても気にすることはありません。

 

Q.カルチャーマッチングの面談では具体的にどのようなことを話すのでしょうか?
A.会社のミッションやビジョンなどを念頭に置いて話をしていきます。「このミッションについてどう思うか?」といったことや、それにまつわる質問が行われることが多いです。

 

Q.外資系企業は転職回数を気にするのでしょうか?
A.僕の知る限り、気にしない人が多かった印象はあります。ただし、転職の理由となりそうな部分は面談時にかなり見られます。たとえば、「協調性がないから転職するのか」「興味範囲が広いから転職するのか?」といったものです。ちなみに、僕が採用した人の中にも転職回数が多かった人がいましたが、その後長く会社にいてくれました。

 

Q.現職中に転職活動を行った方がいいですか?
A.現職中に転職活動を行うのがよいかどうかは、まずはやってから考えましょう。上手くいかなかったとしても、次にどうやったら上手いくかを考える方が重要です。

 

Q.グローバルマーケットを対象とした業務の場合、日系企業の方がいいのでしょうか?
A.外資系企業の本社に行くのも一つの手段です。もちろん日系でグローバルビジネスを行っている企業はありますので、そのような会社に転職するのもありです。ただし、アメリカでやりたいのか、ヨーロッパがいいのか、アジアがいいのかなど、どこをターゲットとしていきたいかより解像度を高くすることが大事だと思います。

 

Q.澤さんが外資系IT企業で働く上で楽しいと思えたことは何ですか?
A.服装や髪型について何も言われなかったことなど、僕が無駄だと思うことがなかったのが一番大きかったと思います。今でもお金に繋がらないことにこだわる会社は日本に多いですが、マイクロソフトではそんなことは全然ありませんでした。また、外国に友人ができたことも楽しかったです。

 

Q.外資系企業に採用されるためには、ジョブディスクリプションに記載されている内容ができる・期待されているとのことですが、一方でジョブディスクリプションに記載されていることが全て満たされていないのに応募する人もいると聞きます。それほど気にする必要はないのでしょうか?
A.そのポジションを受けたいのであれば、受ければいいと思います。ジョブディスクリプションを満たしていないから受けてはいけない、と法律で決まっているわけではありません。ジョブディスクリプションを満たしていないように見えても、実際に会ってみたらポテンシャルが高そうに思えて「この人できそうだ」と採用されることもあります。特に「年齢〇〇歳まで」と書かれているからと応募を諦める方も多いようですが、応募するのは勝手ですから枠にとらわれないでやってみたらいいと思います。

 

Q.外資系企業未経験者です。セールス職として転職するにあたり、外資系企業で苦労するであろう点について教えてください。その際に苦労を克服する方法についても知りたいです。
A.苦労することにビビらないことです。まずは、外資系で働くぞと気合を入れること。外資系企業に限らずどんな企業に行っても苦労しないということはありません。何をもって結果を出すかにフォーカスする、それに頭を使うようにしてください。

 

Q.セールスエンジニアにおけるKPIは何ですか?
A.セールスエンジニアとしては、当然ながらセールスの数字が求められます。セールスにエンジニアが付いているので、エンジニアリングの知識を活かした提案を作ってアップセルにつなげていけば評価につながると思います。

 

Q.日本は一度雇うと解雇しづらく、アメリカは解雇もしやすいと聞きますが本当ですか?
A.これについては誤解されている部分もあるのですが、解雇しやすい州もありますが当然そうでない州もあります。一概にアメリカと一括りにはできないのが現状です。

 

Q.英語の勉強方法について教えてください。
A.勉強方法はいろいろありますが、僕の場合はハリウッド映画を字幕なしで観ることで英語を習得しました。周りでは外国人の恋人を作った人もいましたし、英語しか喋らないと決めて家族とも英語で話すのを徹底した人もいましたね。やる気さえあれば英語は誰でも身に付けられると思いますが、完璧を求めないことがポイントです。

 

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